本プログラムで育成する博士人材像

生命医科学と異分野の融合による新たなパラダイムの創造には、両者とそれぞれの言語で会話ができ、両者を深く理解することによって新たなパラダイムを着想し、それを実現するために両者を融合できるリーダー人材が必要です。例えば、手術支援ロボットであるダ・ヴィンチは、工学のバックグラウンドを持った外科医師起業家の発想が開発を推進し、ロボットスーツHALは、神経科学、生理学を学んだ工学研究者が着想し、これを社会実装しました。また、ノーベル賞の有力候補となっている光で神経活動を操作する光遺伝学は、光学的手法と遺伝子工学に精通した精神科医によって創始されました。しかし、我が国では、これまでこのような人材はほとんど輩出されておらず、またそのための教育システムもありませんでした。

本プログラムでは、生命の恒常性の原理、個としての「ヒト」の生理と病理を明らかにし、社会の中で「人」として健康で快適な生活が実現できる新たな科学・技術を生み出す学問領域を「ヒューマニクス」と定義し、これを修得した「ヒューマニクス」人材を育成します。ヒューマニクス人材は、生命医科学と、理・工・情報学分野の2つの研究領域において博士レベルの知識・技能を持ち、これらを有機的に結びつける力であるバイディシプリンの専門力と、これを基盤とした予測困難な未来に通用する柔軟で複眼的な発想力を有します。また、本質を見極め、パラダイムシフトとなりうる課題を自立して発見する「目利き力」、誠実かつ真摯な態度で困難を乗り越えて課題を解決する「突破力」、解決した課題を社会に発信し応用できる「完結力」を有します(修了時コンピテンス)。この領域に関する専門力・実践力を涵養する中で、自らがヒトの生命原理を明らかにし、発見した原理を再構成するシステムを創出することによって原理の妥当性を検証して、生命に関する新たな理論を構築することができる人材を育てます。

本プログラムは、常に異分野の知識や技術を取り込み、その時々の生命医科学の常識を大きく超えた質的に異なる新たなパラダイムの創造―すなわちZERO to ONE―に挑戦できる博士卓越人材を養成します。

プログラムの特色、卓越性、優位性、将来性

本プログラムでは、1)国際的に卓越した研究力と実績を有する生命医科学と理・工・情報学の学内外の研究拠点が、横断的に連携して、両者が融合した新しい次元の研究分野である「ヒューマニクス」を創生するところに特色、卓越性、さらに優位性があります。
さらに、2)両分野の教員が実際に共同研究を行う中で、両者の研究室で学生の研究指導を行う完全ダブルメンター制をとることによって、両分野において博士レベルの知識、技能をもつバイディシプリンの専門力を有する人材を育成すること、また、3)本プログラム入学希望者に対して、入学前からプレアドミッションプログラムを提供し、より早い学修段階における本プログラムのための学際的素養を涵養するアドミッション改革を行い、入学前からの大学院へのシームレス一貫教育システムを構築することが特色です。
さらに、4)支援期間終了後には、企業と連携してプログラムの完全自走化をはかります。

想定される将来像

  • 新たな学際分野を創造できる研究者
  • 人機能の補完技術を産業化する起業家
  • サイバニクス・情報計算科学を駆使できる医療人
  • 新たなバラダイムをもって 医療制作を立案する行政官 etc …
[CASE01]: 認知機能の低下やメンタルヘルスの改善

脳と連係できる人工神経ネットワークデバイスを開発し、感性、意欲、思考などを理解。

[CASE02] :病態発現機構の理解や難治疾患の克服

細胞機能に介入できる分子ロボットを開発し、感染症やがんなどの分子メカニズムを理解して制御。

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